日本オランウータンリサーチセンター

ダナムバレイ調査の歴史

私たちの研究の歴史

 

Borneo Rainforest Lodge (BRL)周辺での野生オランウータン調査は、私たち日本人研究者(当時学生)によって拓かれ維持されてきました。

 

私たちの調査の前には、BRL周辺での野生オランウータン調査はほぼ行われていませんでした。
(下記、BRL周辺の過去の調査をご参照ください)

 

2004年よりオランウータン・リサーチセンターの副所長金森朝子(現:京都大学霊長類研究所・研究員)が、博士課程の大学院生だった時に開始しました。
2005年より事務局長の久世濃子(現:国立科学博物館・日本学術振興会特別研究員)が加わり、その後、田島知之(現:京都大学理学研究科・教務補佐員)などの大学院生や現地の若手研究者・学生が調査を行ってきました。
それぞれの研究者が、独自のテーマ(採食生態、繁殖生態、生理学、等)で研究する一方、研究資金を出し合い、協力して調査を継続してきました。

 

2010年には京都大学野生動物研究センターが、保護区を管理しているサバ財団と共同で調査地内に「クアラ・スンガイ・リサーチステーション(KSDRS)」を設立し、現在はKSDRSを調査基地として使用しています。

 


2017年1月 1日の調査を終えた現地調査助手 KSDRS前にて撮影

 

調査年表

 

2004年 金森朝子(東京工業大学博士課程) がBorneo Rainforest Lodge (BRL)で調査を始める
2005年 久世濃子(京都大学研究員)が調査を始める

 

2008〜2013年 山崎彩夏(東京農工大学博士課程)が参加
2010年〜現在 田島知之(京都大学博士課程)が参加
2013〜2014年Renata Mendonca(京都大学博士課程)が参加
2015年 蔦谷匠(京都大学ポスドク)が参加

 

BRL(ボルネオレインフォレストロッジ)周辺の過去の調査

 

上図はサバ州に寄った地図で、緑色がダナムバレイ森林保護区(面積438u)です。
Sugpan族の村は、セガマ川沿いにいくつもあったそうですが、ここが一番奥地にあった村なので、この保護区の中心部には人が住んでいた痕跡はありません。 森林伐採も行われたことがないので、まさに手つかずの原生林が残っている場所だといえます。

 

ジョン・マッキノンというイギリス人研究者が、1960年代後半に、このすぐ近くで野生オランウータンの調査を行っています。 彼の仕事はオランウータンのパイオニア・ワークとして、とても有名で、絶版になっていますが、「孤独な森の住人」というタイトルで日本語の訳書もあります。 残念ながら、彼が調査を行っていた場所は、その後、大規模な森林伐採が行われ、現在では、マッキノンが調査した頃の面影は全く残っていないそうです。 しかし、オランウータンはまだ生息してて、WWFマレーシアが調査をしています。

 

じつは、私たちが現在調査地としている場所では、ロッジが建設される前、1991年から1994年にオランウータンの調査が行われたことがあります。 ニロファー・ガッファーというパキスタン人の女性が、博士論文の研究として、調査をしていたそうです。 残念ながら、彼女はイギリス人の研究者と恋に落ちて、結婚してしまい、調査結果が公表されることはありませんでした。 しかし、彼女は簡単な報告書をマレーシア政府に提出しています。それによると、彼女はほとんどオランウータンを観察することができなかったようです。 BRL周辺には実際はオランウータンがいたにもかかわらず、調査方法などから、研究がうまくいかなかったと推測されます。
一部のオランウータン研究者には、このことが知られていて、「ダナムバレイ=オランウータンが見られない場所」と長らく信じられていました。

 

というわけで、幸か不幸かダナムバレイはオランウータンの調査地としては無視され続けていたために、私たちが調査を始めることができた、という経緯もあります。

 

又、ロッジが建設されて以降、調査に入った研究者はほとんどいませんが、
霊長類の研究者は私たちが2番目です。
1番目は、日本人の井上陽一さんがテナガザルの研究を行っていました。
文献:野生テナガザルの子育て

 

ダナムバレイ開拓の歴史

8000年前 セガマ川下流のRinagisanの丘に狩猟採集民族のSugpan族(スンガイ・ドゥスン族)が住み始める
300年前 Sugpan族がセガマ川上流に移動し始める
250年前 Sugpan族(スンガイ・ドゥスン族)が現在BRLがある場所に村をつくる
200年前(19世紀初頭) 病気が発生し、多数の死者が出たため、セガマ川下流に移住する
1963年 ダナムバレイ森林保護区が設立される
1995年 BRL(ボルネオフォレストビレッジ)が開業する

 

私たちが調査地の話をすると、「調査地には現地の人は住んでいないのか?」ということをよく聞かれます。 確かに、昔、といっても200年前までは、先住民のスンガイ・ドゥスン族の人がこの場所に住んでいたそうです。 今でもCoffinという先住民の伝統的なお墓の跡が、調査地内には残っています。 ロッジで働いているスタッフの中には、Sugpan族出身の人もいて、「俺のじいさんのじいさんはココに住んでいたんだ」という話を聞いたこともあります。

 

村人達が病気の発生によって移住してしまった後、ここは無人の地になっていたのですが、人が入ってくる前に、保護区に指定されました。 1995年にロッジが開業してから、ロッジの従業員がここに住むようになり、ちょっと変わった「村」ができたわけです。


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