日本オランウータンリサーチセンター

野生オランウータンの食生活

野生オランウータンは何を食べているか?

 

上の図は、ダナムバレイのオランウータンが採食した食べ物の時間割合です。

 

私たちの調査地では半分以上の時間は果実を食べていますが、その他にも葉や樹皮もよく食べています。
またアリやシロアリなどの無脊椎動物も食べています。 他には、花やショウガの茎、竹の髄なども食べています。

 

もしかしたら、「オランウータンはジャングルの中で、バナナやおいしい熱帯のフルーツばかり食べている動物だ」というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。
実際にはオランウータンは果実ばかり食べているのではなく、葉や樹皮も主要な食物になっています。 もちろん、オランウータンは果物が大好きです。 しかし、食べたくても食べられない事情があります。 (下記、変動が激しい果実生産で詳しく説明しています)

 

 

これはオランウータンが実際に食べていた食物の一部です。
左上はオトナのメスが木の樹皮をはいで食べている様子、右下はオスが地上のショウガの茎を食べている様子です。
体の大きいオスは、時々こうやって地上に降りることもあります。

 

追跡中にオランウータンの採食した植物についてはすべて回収して種を同定しています。その結果、2004年から2010年までに160種を確認することができています。他のオランウータンの調査地でもだいたい200-300種ほど、ボルネオオランウータンは、平均して150種ほどの植物を食べていることが報告されています。

 

 

変動が激しい果実生産

 

じつは東南アジアの熱帯雨林では、果物が豊かに実るのは数年に一度だけです。 上図はダナムバレイ調査地での果物の実り具合と、オランウータンの採食行動を示したグラフです。 ピンク色のバーが、1平方キロメートルあたり、何本の木が結実していたかを示す値です。 ピンク色の線は、オランウータンが食事をしている時間の中に占める、果物の割合です。 同様に緑色の線が葉、茶色の線が樹皮、青色の線が昆虫を、それぞれどのぐらいの割合で食べていたかを示しています。

 

このグラフからわかることは、果物が実っている木の本数は、月によって、また年によって大きく変わる、ということです。 2005年の7月と8月は沢山の木が実をつけています。 これは、一斉開花とよばれる現象が起きたためです。 一斉開花については、下記、熱帯雨林の一斉開花・一斉結実で詳しく説明します。

 

2005年の一斉開花の時は、地面が見えなくなるほど、沢山の果実が落ちていました。 しかし2006年は、森の中を歩いていても、ほとんど果実が見つけることができませんでした。

 

またこの図からわかることがもう一つあります。 オランウータンの食事に占める、果物の割合も大きく変化する、ということです。 果物が豊富な時期には、食べている時間の100%を果実が占めます(例えば2005年の7月)。 果物が少なくなると、果実が占める割合は減り、葉や樹皮を食べる割合が増えます。 特に2006年5月には、果物が食事に占める割合はたった13%、葉が占める割合は50%を超えています。

 

熱帯雨林の一斉開花・一斉結実

 

東南アジアには、一斉開花と呼ばれる、アフリカや他の熱帯では見られない、独自の現象があります。

 

一斉開花は、東南アジアの熱帯雨林に特有の現象で、数年に一度だけ、フタバガキ科の木々が一斉に同調して、開花・結実します。 主にエルニーニョによる乾燥が引き金になると考えられていますが、予測するのが難しい現象です。

 

ダナムバレイでは、ここ10年では、1996年にフタバガキ科の90%以上が開花結実する大規模な一斉開花がありましたが、それ以降は、50%程度、あるいは20〜30%程度の、小規模な開花して起きていません。

調査からわかった、ダナムバレイのオランウータンの食生活

 

  • 主要な食物である果実の生産量の変動が激しい。
  • 一斉結実期は2〜3年に一度、2〜3ヶ月間。それ以外の期間は果実生産量は低調。
  • 一斉結実期に果実のみ食べる。非結実期は葉や樹皮も食べる。
  • 一斉結実期には大きなグループを作ることもある。非結実期は基本、単独(母子のみ)。
果実生産量に応じて生活を大きく変えている

 


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