日本オランウータンリサーチセンター

調査方法

調査方法

 

基本的には、毎日、朝から夜まで、一頭のオランウータンを追跡し、行動を1分ごとに記録しています。 研究者が一人で追跡するのではなく、現地で雇っている調査助手と一緒に追跡します。 追跡中にオランウータンが食べた食物のサンプルを一人の調査助手が収集し、種名や大きさなどを記録します。 この間にもう一人の調査助手がオランウータンを追いかけ、写真やビデオなどをとります。

調査の様子

 

 

オランウータンはいつも樹上にいますから、「この木で食べる・休むと長くなるゾ」と思った時は、こうして地面の上に横になって観察します。 また雨が降っても、追跡はやめないのが基本です。 雨が降ると、このようにポンチョを使い、観察を続けます。

 

オランウータン調査の困難

 

さて、これが一般に言われている、オランウータンの調査における困難です。 しかし、よく考えてみると、熱帯雨林が高温多湿で劣悪な環境だ、というのはアフリカも東南アジアもそれほど大きな違いはありません。

 

次によく言われるのは、「単独性で樹上性なので、発見が難しい」。 これは確かにあります。オランウータンは大きなオトナの雄以外、音声を発することがほとんどないので、チンパンジーのように音声を頼りに探すことはできません。

 

「樹上性なので観察が難しい」。 これもあてはまります。チンパンジーやゴリラは、果実を食べる為に木に登ることはありますが、基本的に地上を歩いて移動します。 一方、オランウータンは地上を歩くことはほとんどないので、間近で観察することは難しいです。

 

 

(写真:樹上のオランウータン)
写真上部中央あたり、黄色で小さく囲っているところにオランウータンがいます

 

 

結局のところ、オランウータンの研究が進んでいない理由は「データ収集の効率が悪いから」といえます。
発見が難しく、観察できる時間も短いとなると、調査にかけた日数に比べて、集めることができるデータが少なくなります。 オランウータンは、かかるコストの割にリターンが少ない、非効率的な研究対象であるといえます。

森の中の危険生物

 

森の中での危険生物といえば、「吸血ヒル」を思い浮かべる方がいらっしゃるかもしれません。
確かにヒルは日常茶飯事で、何の対策もせずに森を歩けば、ほんの数時間でも何匹ものヒルに血を吸われてしまうこともあります。
しかし、真の敵は「ダニ」です。マレー語で「コト・バビ」といいます。 ヒルは小さいもので体長2〜3mm、大きなものでは3cm以上あるので、簡単にみつかります。 しかしダニは肉眼でもようやく見られるくらいの大きさなので、まず見つけるのがヒルに比べると格段に困難です。

 

ダニの困る点は、ヒルと違って簡単に落とせないことです。 ダニを落とすためには、消毒剤入りのお湯を使って、体だけでなく、着ている物も全て洗わなければなりません。 しかし落としても、落としても森でダニがつくので、結局、調査期間中、ずーっと「ボリボリ」体を掻いている有様で、肌はボロボロになります。

 

 

 

 

ヒルやダニは危険といっても命に関わるようなことはありませんが、森の中には、命に関わる危険もあります。
一つは毒ヘビ。ダナムバレイにもブラックコブラやクサリヘビなどの猛毒がいます。私達調査チームの中では、ここで毒ヘビに噛まれた人はまだいませんが、調査助手の一人は以前、森で毒ヘビに噛まれて九死に一生を得たそうです。

 

もう一つの命に関わる危険生物は「ハチ」です。
ハチに刺されると稀に「アナフェラキーショック」というショック症状を起こして死に至ることがあります。
ある研究者が1回ハチに刺された時に腕が腫れ上がり、翌日は気持ちが悪くて森に入れなくなってしまいました。
それ以来、研究者は写真のような「アナフェラキーショック」の自己注射セットを持ち歩いています。


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